繰り上げ返済「1円残し」返済術。金利上昇局面で私がNISAより「負債の圧縮」を選んだ理由

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この記事のまとめ

1.金利上昇のリアル…たった半年で利息支払い分が約2倍に。月1万円の「純粋な返済コスト」が増え続けた現実を可視化。

2.NISA活用<繰上返済…株式相場に踊らされず、「確実に利息分をカット」し「思考のリソース」を確保する戦略を選択。

3.ネットバンキングを駆使し、数万円かかる「完済手数料」を無料にする具体的な操作手順を紹介

4.「抵当権抹消」を自分で行うことで、さらにコストを削減する方法。

返済予定表に現れた金利上昇の影響

2024年以降、断続的に届く金利上昇に関する通知。

「上がったといえど0.8%台だし、まだまだ昔に比べれば低金利」と、甘い考えで過ごしてきましたが、いざ自宅に届いた「返済予定表」を確認したとき、思わず目を見張りました。

「5年ルール」のおかげで、毎月の支払総額(銀行に引き落とされる額)は変わりません。

あるいはそのせいで、元本はどれくらい払われているのか(完済に近づいているのか)という観点に鈍くなっていたのかもしれません。

以下は、実際のこの一年での住宅ローン金利と返済内訳の変化を表にしたものです。

時期適用金利支払い総額元本分利息分
上昇直前
(2024.12)
0.46%79,151円68,263円10,888円
1回目上昇後
(2025.01)
0.61%79,151円64,747円14,404円
2回目上昇後
(2025.07)
0.86%79,151円59,123円20,028円
筆者の住宅ローンの内訳推移(本体、リフォーム分合算・35年変動・元利均等)

わずか半年あまりで、利息分がほぼ2倍になってしまいました。

言い換えれば、「同じように返済しているつもりで、実は銀行に支払うための純粋なコストが、毎月1万円増えた」ということです。

10年間、多くのお客様に居住用不動産を仲介してきましたが、自分のことになってやっと初めて「借金」や「変動金利」の恐ろしさを身にしみて感じられたのでした。

年間で12万円、トータルの返済額で見れば約300万円もの重荷が、静かに、しかし確実に積み上がっている現実に直面したのが、今回の繰上返済を考え始めたきっかけとなります。

金利上昇は一時的な現象ではない

更に私を不安にさせたのは、昨年来、住宅ローン金利が非常に速いペースで急騰しているという現実です。

2026年2月、フラット35の金利は2.26%(融資率9割以下)となり、前月から0.18ポイントの大幅上昇。大手行の10年固定も2.7%〜3.1%台まで引き上げられました。

今後の金融市場や社会情勢を俯瞰しても、これは一時的な上昇ではなく、構造的な変化の始まりと捉えるのが自然でしょう。

「住宅ローン控除があるから」という防波堤も、金利上昇の前ではゆくゆくは無力となります。(私の場合、住み替え時に「3,000万円特別控除」を選択したため、そもそもローン控除という盾を持っていませんでした)。

「同額をNISAに回せば……」という考えもよぎりましたが、情勢を見越した上で、サラリーマンである私が取るべき選択は一つでした。

FPが考える結論:サラリーマンは「負債の圧縮」を優先すべき

投資運用のプロではない私たち共働き家族にとって、最適解は「理論上の期待利回り」だけでは決まりません。私が繰上返済を最優先した理由は2点です。

  1. 「思考リソース」の解放:日々の仕事で忙しい中、金利上昇に怯えながら投資先を吟味し続けるのは、多大な「精神的コスト」を消費します。固定費を物理的に削ることは、脳内のリソースを整理し、穏やかな暮らしを確保することに直結します。
  2. 確実に「0.8%超」を確定させる:どんな手堅い投資にも「元本割れ」はありますが、繰上返済による利息カットは、その瞬間に適用金利分(私の場合0.86%)の利回りをノーリスクで確定させるのと同じです。

例えば、期待利回り5%のNISAは非常に魅力的ですが、元本割れのリスクが伴います。対して繰上返済は、ローン金利分の利息を「非課税かつ100%確実」に削ることができます。

結果、リフォームローンの完済だけで月4万円以上のキャッシュフローが改善しました。これは「確実な手取りアップ」と同じ効果を生んでいます。

(もし私が住宅ローン控除中であれば、金利が控除率を下回る「逆ザヤ」状態に注目し、控除期間内は返済を急がず資金を温存する方が有利と判断するかもしれません。今後上昇する金利と控除率を比較することが大前提となります。)

手数料を数万円浮かせる『1円残し』の具体的な手順

さて、返済を決断したときに注意したいのが「手数料」です。

多くの銀行では、ローンを「一括繰上返済」すると窓口対応が必要になり、数万円の手数料が発生します。

これは、売買に伴う抵当権の速やかな抹消のために必要ないわば「特急」手数料のようなものです。

そこで、実務を知る人間がお客様にもご説明しているのが、インターネットバンキングを利用した「1円残しの一部繰上返済」です。

ソニー銀行や住信SBIネット銀行など一部の銀行は、全額一括繰り上げ返済をしても手数料がかからない場合もあります。

そのほかの銀行でもネットバンキング経由で手続きを行えば、「一部繰上返済」が手数料無料で実施できますので、最後の返済分(1円以上)を残していくことで、手数料よりも遥かに少ない利息分で手続きを終えることが出来ます。

以下の手順で賢く進めましょう。

  1. 残高の確認:「ローンのお取引」ページ等から、現時点での正確な借入残高(円単位)を確認します。
  2. 申し込み:「繰上返済」メニューに進みます。
  3. 金額の入力:一部繰上返済の「返済額変更方式」を選択。返済額には「現在の残高 – 1円」の金額を入力します。(残高を1円残す)
  4. 返済の実行

これにより、実質的な完済状態を「手数料無料」で実現できます。

※一部の銀行では、少額を残しても手数料がかかる場合もあります。各行の詳細ページを確認してください。

※ネットバンキングでは「1万円以上」など最低返済額が設定されている場合もあります。事前に利用中の銀行個別のルールを確認しておくと安心です。

残った1円は、最終的な返済日に自動で引き落とされるか、後日清算することで、無駄なコストを徹底的に排除することができます。

最後に:抵当権抹消も「自分」で完結させる

ローンが実質的に終われば、最後の手続きは登記事項証明書に記録されている「抵当権」の抹消手続きのみとなります。

司法書士に依頼すると1〜2万円程度の報酬がかかりますが、自分でやれば数千円(登録免許税)で済みます。

  • 難易度:住所移転などの登記に比べれば、極めてシンプル。
  • 注意点:銀行から送られてくる「抹消書類」の中の「代表者事項証明書」などは、有効期限が3ヶ月である点に注意。

期限が切れると再発行に手間がかかります。売却の際には様々な手続きに追われ、結果抹消手続きだけでも依頼することになってしまいがちですので、書類が届いたら、穏やかな暮らしをより確かなものにするための「仕上げ」として、サクッと済ませてしまうのがおすすめです。

金利上昇や市況に流されず、穏やかに暮らしていくために、

確実な「負債の圧縮」で、心のゆとりを整えていきましょう。

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